歯周内科に取り組む熊本県天草市の生田歯科医院は安心・安全・誠実な歯科治療をめざします
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歯周病は薬で治る

第53回 最終回 歯周病の克服 高齢化社会を迎えるに当たって

薬を使った歯周病治療(歯周内科治療)を行い、その後に歯石取りなどを行った患者さんは、歯ぐきをメスで切って悪い部分を取り除く手術がほとんどなくなります。また、メインテナンス時に非常によい状態で来院されます。

そのため、冠を被せる処置が少なくなります。歯科治療においては、自分の歯に勝るものはありません。なるべく、削らない、抜かない、詰めない、被せない歯科予防制度を確立する必要があると思います。そのことにより、多くの健康な高齢者を作ることが、これからの日本の経済や将来にとってきわめて重要なことだと思います。

今後、少子高齢化が急速に進行するにあたり、どうやって、寝たきり期間を短縮できるかが今後の日本の将来にとって、非常に重要な課題になると思われます。様々な研究で、8020(80歳で20本以上の歯を有している人たち)を達成した高齢者は寝たきり期間が短いことが証明されています。通常の歯科治療においてもそのことは経験します。

薬を使った歯周病治療(歯周内科治療)により、30歳前後から歯周病の管理を行っていけば、歯周病にかかりやすい年齢になっても、ほとんど歯周病を発症することなく高齢期を迎えることができるようになると確信しています。若いうちから、位相差顕微鏡を用いて、バイ菌の状態を観察し、悪玉のバイ菌が観察された場合は将来、歯周病が起きる可能性がわかります。そして、その方にあったプラークコントロールメニューを提示することも可能になると思います。

これから求められる歯科治療は患者さんに優しく、我々、歯科医師にとって易しく、楽しい治療でなければならないと思います。

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第52回 正常微生物叢を保つには定期検診が重要

私は、口の中におけるバイ菌(カンジダなどの真菌と細菌の繁殖)のバランスが崩れ、人体の免疫力を超えたときに歯周病が発症すると考えています。現実に、ほぼ100%の確率で歯垢(プラーク)からはカンジダが検出されますが、実際に歯周病を発症していない患者さんも多いのです。

また、若年者の歯垢(プラーク)からもほぼ一〇〇%カンジダが検出されますが、歯周病罹患者は少ないようです。これは、免疫力(体を守る防衛隊)の力が強い状況が関係しているのではと感じます。

歯周病好発年齢になると、免疫力(体を守る防衛隊)の低下などのために歯周病が発症するのではないでしょうか。免疫力(体を守る防衛隊)が極端に低下している寝たきりの高齢者になると、口腔内はカンジダなどの真菌類の巣窟のような状況に遭遇します。また、生活状況の変化(夜勤・日勤が交代で生活が不安定、ストレスを強く感じている状況、失業や受験)などや、他の内科的な感染性疾患などの患者さんは、歯周病が悪化していることが多いようです。

また、細菌や原虫などの再感染を防ぐための生活は社会生活でのつきあいをセーブすればかなり可能ですが、社会的なおつきあいを拒否できないなどでコントロールが難しい場合は再感染が認められる場合があります。しかし、その感染量が少ない場合は歯周病の状態は起きていませんし、感染量が少ないと歯磨きだけで完全に除菌できることも経験しています。

そのため、私は、治療終了時に患者さんに定期検診の重要性をお知らせするために、次のように説明しています。

「いま、庭 (口の中) にほとんど雑草(カンジダ・細菌・原虫)が生えていない状態です。しかし、いくら、毎日庭掃除(歯磨き)をしても、いくらかは雑草が生えます。全く掃除しないと雑草が生えるスピードは速くなります。庭掃除は雑草が生えるスピードを遅くすることはできますが、全く生えないような状態にしておくには、一日中庭掃除をしていないといけません。それはなかなかできないので、いままでどおりの庭掃除でけっこうです。三カ月くらいすると、少し雑草が伸びてきます。

ここで、プロの掃除をしていくと雑草は一気になくなり、きれいな庭に戻ります。これが一年も二年も放っておくと、プロの庭師 (歯科医師・衛生士) でも掃除は大変ですし、大事な庭木 (歯や骨) まで台なしになります。ですから、最低1ヶ月~半年に一度の定期検診が必要になるのです。定期検診の間隔については、あなたの歯磨きの状況や生活状況で変化します」

第51回 歯周病は性感染症だ

カンジダなどのカビ(真菌)類は普通の生活をしていても、再感染してきます。逃れようがないというのが正直な感想です。

ですから、歯磨きや定期検診でお口の中のカンジダの量をどこまでコントロールできるかがとても重要です。しかし、トレポネーマデンティコーラなどの細菌類や原虫は、空気感染はありません。これらは明らかに接触感染です。

つまり、除菌できた人にトレポネーマデンティコーラというバイ菌などが再感染してくるルートは他の保菌者との接触しかありません。その行為として一番感染の確率が高いのはキスなどの性交渉であると思われます。その他には両親などからの子供への食べ物の口移し行為や学校の部活などでのスポーツ飲料が入ったペットボトルの回し飲み、宴会の席での杯の交換などが危険な行為であると思われます。

このような再感染ルートの遮断は生活の中で十分可能です。患者さんのデータで、30,40歳代の再感染率は高く、50,60歳代の再感染率が低いというデータがあります。また、一人暮らしのかたは再感染率が低いようです。

第50回 ジスロマックの副作用について

副作用報告も下痢などの消化管症状が多く、重篤な副作用報告は歯科においてはほとんど報告されていません。

ジスロマックの副作用の中でなぜ下痢が多いかと言うことは既に解明されています。もともと、ジスロマックを含むマクロライド系抗生物質は下痢を起こしやすい性質を持っています。胃に収縮を起こさせたり、消化液の分泌促進を起こさせたり、いろいろな性質を有するモチリンというタンパクがあるのですが、マクロライド系の抗生物質はこのモチリンと同様な作用を有することが判明しています。

しかし、マクロライド系抗生物質の中で代表的なエリスロマイシンと比較すると下痢を起こす頻度は少ない事が医学的に証明されています。

また、今年の6月頃にジスロマックで横紋筋融解症や重度の肝臓障害が起きたという厚生労働省からの発表がありました。

私のもとにも多くの先生方から大丈夫なのかと質問が多数よせられました。詳しく調べた結果、やはり非常に安全な薬剤であると言うことがわかりました。

今回発表された副作用は3年間で14症例でしたが、ジスロマックが投与された症例数はその3年間で9000万症例でした。つまり、一人の患者さんが17612年毎日ジスロマックを飲み続けて始めて遭遇する確率なのです。これは宝くじに当たるより、飛行機事故に当たるより遙かに難しい確率だと言えます。

しかし、副作用というのはいつ起こるかわかりませんので、内服して少しでも変な感じがあればすぐに歯科医院へ連絡をして頂きたいのです。

第49回 抗力ビ剤シロップ(アムホテリシンB)に副作用はあるか

その開発は1955年で、48年間にわたり、カビ(真菌)治療においてはスタンダードな薬剤として使用され続け安全性、耐性菌問題もほとんど問題なく使用され続けている薬剤です。

また、重篤な腎障害はシロップ剤として使用する場合は腸管吸収性がないという特性のために起こりえない障害であることは薬理学的に証明されています。私が講習会の受講者を対してアンケートを取ったところ、一万六三三一症例中、副作用が出たのは消化管症状(下痢、腹痛など)が七〇症例だけと、非常に少ないものでした。また、耐性菌につきましては、48年間で1症例の耐性菌報告がアメリカで報告されているだけです。

抗カビ剤(静脈用アンプル剤)は、静脈内投与をすると副作用が強く出ます。しかし、シロップ剤として経口投与の場合、その心配は全くありません。私は、一番最初の頃は歯周病の患者さんに経口投与をしていましたが、便秘や下痢の起こる人がいたので、現在は抗カビ剤シロップを吐き出してもらうことにしています。ただし、便秘や下痢があっても、抗カビ剤シロップを一時ストップすれば、問題はありません。
それぞれの歯科医師と相談して利用するといいでしょう。

第48回 効率的に歯垢を除去する歯磨き法

効率的に歯垢(プラーク)を落とす歯磨き方法とはどんな方法なのでしょうか。

それには、一週間ほど続けて、歯磨きの前に染め出しをしてみることです。染め出しに必要な薬品は歯科医院で手に入りますが、その薬品を歯を磨く前に歯に塗って鏡で見るのです。すると、歯垢(プラーク)がたくさん付着している部分は赤く染まります。毎日やっても、染まる部分というのはだいたい決まっています。

そこで、赤く染まった部分を特に念入りに磨けばいいということになります。   例えば、右利きの人は右の歯が磨きにくいので、歯ブラシを立てるように持ち代えたり左手に持って磨いたりします。しかしながら、うまく磨ける人は少なく、上下の歯の右側やその裏側などには歯垢(プラーク)が付着したままであることが多いものです。また、乱杭といって、歯並びの悪い人も歯並びの悪いところが赤く染まることがよくあります。

ですから、染め出しをやってみて、歯垢の付着しやすい部分を見つければ、そこから歯垢(プラーク)を取っていくという、短時間で効率的な歯の磨き方ができると思います。そういった部分を磨くための特殊な歯ブラシもあるので、それを利用するといいでしょう。

さらに、年を取ってくると歯は少しずつ弱っていきます。その結果、歯と歯の間に隙間が生じることがあるので、歯間ブラシを使うことが必要です。位相差顕微鏡でそのような部位の歯垢(プラーク)を見てみると細菌やカンジダが非常に多く繁殖してるのを確認できます。逆に磨きやすい部分の歯垢(プラーク)は非常に綺麗な微生物叢です。

第47回 不潔な歯科医院で歯周病は院内感染する

私は、歯科治療を行ううえで、最も力を入れているのは、「院内感染防止対策」です。特に、歯周病がバイ菌によって引き起こされることがわかったいま、バイ菌の感染をいかに防ぐかということが歯科医療の命運を握るといってもいいと考えているからです。

院内感染は、エイズの問題などが出てきたことによって、その対策が非常に注目されるようになりましたが、歯周病もまた、バイ菌の感染を抑えることが大切な時代になってきました。

ところが、院内感染防止対策は現在、日本の歯科医院で完全に行われているかというと、残念ながら、あまり行われていないと言わざるを得ません。前述の花田信弘先生が行ったアンケートでも、特に危険なキーンと音のする歯を削るタービンという器械の滅菌率は一割にも満たないという結果でした。また、患者さんごとに手袋を使い捨てにしている歯科医院も、一割ぐらいでした。

私の講習会の受講者の先生方で、患者さんの入れ歯洗いのブラシを滅菌している先生は、1000人中5人しかいませんでした。ほとんどの先生は、同じブラシですべての患者さんの入れ歯を洗っていました。入れ歯は、特にカンジダが多く付着していますから、同じブラシで洗うとほかの患者さんのカンジダまでもらってしまうことになり、非常に危険です。

厚生省では、院内感染防止対策の費用は、すでに初診料や再診料の中に含まれており、実施するのは当然であるとの見解です。しかし、常在菌まで含めて滅菌対策を行うとなると、莫大なコストがかかり、歯科医院経営は非常に厳しくなるといわざるを得ません。今の保険制度のもとで身を削りながらも積極的に滅菌を行っている歯科医院は非常に良心的で患者さんのことを本当に考えている医院といえるでしょう。すべての歯科医院で患者さんが、ほんとうに安全な歯科治療を受けられるように、早急な改革が必要と思われます。

また、患者さんも、自分自身の治療が安全な器具や施設で行われているか、確認をとることも必要と思います。
院内感染防止対策は、歯科医師のモラルであるといっても過言ではありません。いくら、いい治療をしているといっても、その治療をする道具がバイ菌で汚染されていては、治療どころではないのです。

私は日本口腔感染症学会に所属し、常務理事を拝命しています。近年、日本においてHIV感染者の急激な増加が大問題になってきています。先進国の中で唯一感染者数が増加しているのです。このままでは、2010年にはHIV感染者の実数は5万人になると推測されています。一人の患者さんの治療に年間400万円程必要だそうです。すべてを国の医療費でまかなうとすると年間2兆円の医療費が新たに発生すると言われています。私たちは何とかしないと大変な状況に追い込まれるのではと心配しています。

日本口腔感染症学会では歯科医院における院内感染予防対策を実施していくための方法を模索していましたが、2007年4月に院内感染予防対策認定医制度という制度を立ち上げました。学会が定めた認定基準をクリアしたら院内感染予防対策認定歯科医として認定されます。今回の認定において日本全国で11名の歯科医師と2名の歯科衛生士が認定医として認められました。私も九州で唯一認定医として認められました。国際歯周内科学研究会の関東地区のインストラクターである岡部俊一先生も認定医になられました。

後、このような安全基準とも言える資格を有する歯科医院が増加していくと思われますが、患者さんが歯科医院を選ぶ非常に重要な要素になると思います。

院内感染予防対策認定医

第46回 薬を使った歯周病治療(歯周内科治療)で効果のない患者さんの特徴

薬を使った歯周病治療(歯周内科治療)を行って、効果の出ない患者さんが10%ほど存在します。しかし、このような患者さんは事前のお口の中の診査や位相差顕微鏡の観察で効果が期待できない症例であることがわかります。ですから、無駄な投薬をしないためやお薬の効果をより確実にするためにも位相差顕微鏡による観察は必須なのです。

効果が期待できない患者さんの位相差顕微鏡像の特徴

本来、生体の免疫力(体の防衛隊)の力が非常に強い人は、微生物の感染が起きている場合には、その微生物を食べるために白血球がでてきます。そのためお口の中の歯垢(プラーク)中には、バイ菌が多い場合には、多数の白血球が認められます。

ところが、患者さんの歯垢(プラーク)を観察すると、そのような白血球を全く観察できない患者さんがいます。当院で経験したのは次のような患者さんです。このような患者さんにはジスロマックは効果がありません。

  1. 血液疾患の患者さん:再生不良性貧血、貧血
  2. ヘビースモーカー
  3. 塵肺患者さん
  4. 栄養失調の患者さん
    また、白血球が出てきていてもお口の中の問題のために強い効果のない患者さんもいます。

それは次のような患者さんです。

  1. 被せものが多く、バイ菌が逃げ込んで、白血球がバイ菌のところまでいけない状態の患者さん
  2. 虫歯のままで放置された歯が多く、その中にバイ菌が逃げ込んで、白血球がバイ菌のところまでいけない状態の患者さん。
  3. 根の先から歯の中にバイ菌が入り込んでいる状態で、感染した歯の根の中にバイ菌が逃げ込んで、白血球がバイ菌のところまでいけない状態の患者さん。
    また、薬を使った歯周病治療(歯周内科治療)でバイ菌を除菌できても内科的な特殊な疾患により歯ぐきの改善が認められない患者さんもいます。

つまり、歯垢(プラーク)中に白血球を全く観察できない症例はジスロマックのファゴサイトデリバリーが期待できないので、薬を使った歯周病治療(歯周内科治療)がうまくいかない可能性が高いのです。

しかし、このような症例でも、バイ菌が感染している部位に直接お薬をつけるという方法で治療を行えばバイ菌の除菌は成功する可能性があります。 

また、ごく最近、ジスロマックでも効果のない症例に効果があるといわれている抗生物質の発売が開始されるとの報道がありました。このようなお薬も大事に慎重に使用する必要があると感じます。

(その後、ケテックという新しい抗生物質が発売されました。非常に効果が高いのですが、副作用の中に突然の失神が起きることが判明し、現在ではあまり使用されなくなっているのが現状です。)

第45回 節目検診時にも位相差顕微鏡を使用

私は町内の節目検診の折にも、位相差顕微鏡を用いて検診を行っていますが、60歳を過ぎて非常に素晴らしい口腔内を維持している方のお口の中の微生物叢がほとんど似通っていて、薬を使った歯周病治療(歯周内科治療)を行った患者さんのお口の中の微生物叢に近似しているという事実を経験しています。このことは非常に重要な意味を持つと思っています。

8020達成者(80歳で20本以上の歯を有している人たち)のお口の中の微生物叢をPCR法(遺伝子解析を行い遺伝子レベルで存在を確認をする方法)をもちいて、分析すれば8020達成者(80歳で20本以上の歯を有している人たち)の条件としてどのような微生物叢を獲得すべきか、どのような遺伝的な特性があるのか、どのような生活や食生活を送ってきたのか判明するのではと思います。

第44回 お薬だけを購入することはできません。

私の歯科医院にもよく、遠方のため通院できないのでお薬だけを送って頂けないかとのご相談があります。しかし、すべてお断りしています。このお薬は、歯科医師がお口の中を診察し位相差顕微鏡で歯垢(プラーク)中の微生物を確認して始めて、処方するお薬が決定します。

ですから、そのような確認なしで、また、処方なしでお薬だけを入手することはできませんし、歯科医師も診察なしでお薬だけを送ることは法律で厳しく規制されています。きちんとした診断があってはじめて治るものなのです。

位相差顕微鏡なしでは薬を使った歯周病治療(歯周内科治療)は行うべきではありません

薬を使った歯周病治療(歯周内科治療)を行うと、位相差顕微鏡で、術前、術後の顕微鏡像に大きな変化が起きます。まさに劇的な変化です。その変化が起きる確率は実に90%以上になります。外科的歯周病治療、歯周内科的な歯周病治療の最終目的はこのような安定した微生物叢を得ることにあります。

そして、もし、効果がないときにはジスロックが何故、効果がなかったのかを追求することが重要です。そのような姿勢で抗生物質を使用しないと、せっかくの夢のようなお薬にも耐性菌(お薬が効かないバイ菌)がでてしまいます。

聞きかじりで、この治療を行っている歯科医院もあると聞き及んでいます。しかも、位相差顕微鏡もなしでお薬だけを出しているということもあるようです。この治療方法は、位相差顕微鏡での歯垢(プラーク)中の観察があって始めて治療方針を決定できます。

ですから、この治療をきちんと行える歯科医院には必ず位相差顕微鏡が備えてあります。一番先進的な歯科医院には術前、術後の歯垢(プラーク)中の微生物の変化を動画像として記録できるペリオセーバーというシステムかそれに準じるシステムを導入してあります。

また、この治療を受けるために歯科医院を受診されるときは巻末の歯科医院を受診されることをお勧めします。また、このほかにも治療可能な歯科医院がありますので、

生田歯科医院 (TEL 0969-77-039)

までご連絡頂ければお知らせ致します。

第43回 ペリオバスターNについて

患者さんの中で、まず、痛いところの治療などをしてほしいという場合は保険診療になります。保険診療の途中で、やっぱり、歯周病治療をしたいといわれたときには、法律上自費で抗カビ剤だけを出すことはできません。

そのため、食品扱いのもので口臭予防スプレーとして使用されていたものの中に天然成分だけでできているペリオバスターN(スプレータイプとジェルタイプがあります)というものがあることを教えて頂きました。

この製品は元々、お肉の腐敗防止を目的に開発されたもので、カビを押さえる作用がかなり強いということがわかっていました。そこで、そのスプレーを使用することにしたのです。効果は薬品としての抗カビ剤には及びませんが80%近くあるとおもわれます。

メインテナンスに最適であるという評価をいただいています。国際歯周病内科学研究会の会員の歯科医院で購入が可能です。

ペリオバスターNとペリオバスタージェル

ペリオバスターNとペリオバスタージェル
発売元 薬草の島「天の草」社

第42回 歯周内科治療後の患者さんのプラークスコアの状態

歯科医院では患者さんの歯磨きの状態を調べるために歯垢(プラーク)の染め出しを行います。そして、その汚れの残り具合をプラークスコアとして表しています。

通常の歯周病治療では、まず、徹底して歯磨き指導を行い、このスコアを20%以下になるまで頑張って指導します。当院でも、20%を切らせるためにいろいろと難しい歯磨きの方法を工夫したり、患者さんを励ましたりとあの手この手を駆使していました。ところが、内科的な歯周病治療を行うと、約10日後ぐらいに保険で治療を開始するときにはすでに半数以上の患者さんはプラークスコアが20%以下を達成していたのです。

患者さんに話を伺うと、「歯ぐきから血が出なくなったので嬉しくて、歯磨きが楽しくなった、2~3日でお口の中がとても爽快になり、おやつなどを食べたくないくらいよくなった、歯磨きをしてもうがいをしても染みなくなったので歯磨きできるようになった」などのお答えでした。

患者さんが治療の効果を自ら体験して、歯を磨くことの重要性や爽快感を感じて頂いたために、よりいっそう歯磨きができるようになったのだと感じました。

図、当院の患者さん80人のプラークスコアの状態

(図)当院の患者さん80人のプラークスコアの状態

第41回 歯周内科治療後の歯ぐきの変化とバイ菌の変化(ペリオセーバー画像)

普通の歯科医院では、歯周病の検査を行い、歯ぐきからの出血部位が減少したとか、歯の動きが軽減したとか、あくまで、歯科医師の主観で判断されていました。

また、検査を行うのは主に歯科衛生士が行いますが、同じ患者さんを別の歯科衛生士が検査を行うと検査データは食い違うことが多いのです。歯周内科を実践している歯科医院の治療の判断基準は患者さんも治療効果を一見してすぐわかる、歯ぐきの写真の判定であり、位相差顕微鏡でのバイ菌の変化による判定です。

 では、実際にどのくらいの効果があるのでしょうか?
典型的な症例をお見せ致します。

38歳弾性


50歳男性


65歳女性


治療を急いだ症例 男性72歳

 

第40回 除菌後の歯周病治療 歯石をきちんと取ることが必要です。

きれいな口腔微生物叢が獲得できたら、従来通りの歯周病治療を行います。

保険治療では次のような方法で行います

  1. 歯ぐきの状態や歯石の付着状態、歯垢(プラーク)の付着状態などを検査して、 歯磨きの方法を指導します。
  2. 歯石取りを行います。歯石取りはあくまで歯石だけをきちんととることが必要です。最近は、健康な歯の表面まで過剰にこさぎとらないような歯石取りが強調されています。除菌がきれいに行われていると歯石自体も取りやすく、歯石をとった後でも染みるのが非常に少なくなります。
  3. 再度、検査を行い、普通の歯石取りでは除去できない深い歯石がついているかを確認し、ついている場合は麻酔をして再度深めに歯石取りを行います。
  4. 深めの歯石取りの後、再々度、詳しい検査を行います。以前はこの検査の後で改善しない部分の歯ぐきをメスで切って悪い部分を取り除く手術を行っていたのですが、除菌をきちんと行ってから歯石取りを行うと、ほとんど、歯ぐきをメスで切って悪い部分を取り除く手術を行う必要がなくなるのです。

国際歯周病内科学研究会の会員のデータでも90%以上の頻度で、歯ぐきをメスで切って悪い部分を取り除く手術が減少しています。生田歯科医院ではほとんどなくなりました。

第39回 歯周内科学とは

歯科の一般的な2大疾患である歯周病、虫歯はともに、現在の歯科医療においては、感染症であるという結論になっています。

感染症であれば、完全な治癒を目指すには生体からバイ菌を取り除けば、病気は回復し、生体は元の状態になるはずです。科学者としてはバイ菌を取り除く方法を模索するのは当然の姿勢です。その方法として、現在、主流なのが、外科的な歯周病治療方法であると思われます。しかし、その方法は非常に難しいのです。それは何故かと言いますと、歯科医師の手先の器用さを非常に要求し、患者さん自身も非常に時間をかけて、プラークコントロールをうまくできるという厳しい条件下でないといい結果が生まれないのです。つまり、患者さんも、歯科医師も一流でないと歯周病は治らないということなのです。

しかし、医科において、一般的な感染症である風邪を治すのに医師の能力に大きく左右されるでしょうか。ほとんどの風邪は、どのようなレベルの医師でも治療マニュアルにより治療を行えば治癒をします。
何故、歯科においては2大疾患の一つである歯周病がどの歯科医師が治療しても同じように治らないのでしょうか?
私の大きな疑問はそこから始まりました。

つまり、どのような歯科医師が行ったとしても、同様の結果が得られる治療方法を確立しないと、治療方法としてはいい方法ではないのではと思ったのです。

その解決方法として、バイ菌を効率的に簡単に取り除く方法としては薬剤による内服療法や薬剤塗布療法がもっとも効果的であると思いました。患者さんに「この薬を飲んだら
、この薬を塗ったら、いま、あなたに感染して、あなたを悩ませている歯周病がすぐ治りますよ。」という方法です。夢のような治療方法ですが、理論的には可能なはずだと思いました。

デンタルダイヤモンド誌増刊号「ペリオこの疾患にこの治療法の新展開」2003年10月発刊(監修 鴨井久一先生)にトピックな歯周治療という内容で「除菌療法の考え方歯周治療におけるパラダイムシフトのために」という題目で花田信弘国立保健科学院口腔保健部長は次のように述べています。

「歯科医学においても、二大疾患の1つである歯周病に関して、これまで生活習慣病や単純な老化現象という捉え方が強く、その予防対策はあきらめられ、心理的精神的領域に留まっていた。ところが1970~80年代にかけて、生活習慣病や単純な老化現象ではなく、細菌によって惹起されるという新しい病因論が提出され、宿主、環境の生活バランスの他に、病原体を加えて病原体、宿主、環境の三者のバランスの崩壊によって起こるというパラダイムシフトが出現した。しかし、このパラダイムシフトは一部の細菌学研究者だけのものであり、国民には浸透せず、今日の歯周疾患の臨床に反映しているとは言い難い。

歯周炎の予防や除菌療法を科学的に進展させていくためには、生活習慣病や単純な老化現象だとされ、医学的なアプローチが放置されてきた歯周疾患に関するこれまでの支配的なものの見方を、歯科医師と患者がともに変えていく本格的なパラダイムシフトを実現する必要がある。」と述べています。  まさにその通りなのです。

※パラダイムシフト 一時代の支配的なものの見方を急激に変えること。かつては「正しい」とされていたことの判断基準が逆転して「今は間違いである」とされること

第38回 岡山大学歯科医学会総会特別講演

歯科の一部門に補綴学という学問があります。歯に被せる冠や入れ歯を作る学問です。建物でたとえると歯周病学や根管治療学は家の基礎にあたる学問といえます。補綴学は建物本体と言えるでしょう。

歯科治療においては基礎にあたる歯周病学も根管治療学も建物本体である補綴学もどちらも完璧でないと、人の口腔内は健全な状態を保つことができません。一番良いのは天然歯が人生の最後まできちんと残ることが良いのですが、むし歯や歯周病で壊された口腔内の組織を再建し、天然歯と同じように最後まで健全に保つには歯科医師も患者さんも努力をしないとうまくいきません。

特に人工的に作られた冠や義歯を長持ちさせることは本当に大変なことなのです。

補綴学の先生にとって、冠や義歯は作品とも言えます。ですから、作品をいかに長く健全な状態で機能させていくかは非常に重要な問題となります。いかに完璧に冠や義歯を作製して、機能させたとしても、その基礎である歯ぐきが壊れてしまえば作品の寿命は一気に短くなり常にトラブルに悩まされます。

岡山大学歯学部の補綴学の名誉教授である山下敦先生は補綴学の世界では重鎮して君臨されている有名な先生です。山下敦先生も、補綴学を究められると同時に歯周病状態をいかに良好な状態に保つかということを考えてこられました。補綴学の先生方は、歯周病などの予防に関して神経質であり、非常に熱心に取り組まれます。

山下敦先生も東京医科歯科大学のシンポジームに受講者としてご参加頂きました。そして歯周内科治療が歯周病の治療に非常に有効であると言うことを、ご自身の臨床を通して納得して頂き、補綴学会に発表をされました。

日本歯科新聞記事

日本歯科新聞記事

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その経緯から、山下敦先生のご推薦で、岡山大学歯学部の歯科医学会に特別講演の演者として招聘を受け、2007年8月19日に講演を行いました。

山下敦先生そして、歯周病科の教授であり東京医科歯科大学のシンポジームでご一緒した高柴教授が座長として講演をまとめて頂きました。私は東京医科歯科大学のシンポジームの内容に少し症例を増やして講演を行いました。

若い先生方の熱心な眼差しに歯周内科治療は今後大きく進歩していくであろうことを確信しました。

第37回 歯周内科学という学問

このシンポジュームの前までは私はこの学問を「歯周病内科」という命名をしておりましたが、鴨井久一教授のご指導により「歯周内科学」という呼び方に統一しましょうと言うことでその後「歯周内科学」と言っています。

いよいよ、歯周病を内科的に考えていこうという学問が正式に認められ始めたのです。

東京医科歯科大学歯科同窓会シンポジューム

2006年11月26日に東京医科歯科大学歯科同窓会シンポジュームにおいて歯周内科がメインテーマとして取り上げられます。しかも、緊急開催シンポジウムと言うことで大変な状況になりました。

なぜ、このようなシンポジウムが開催される事になったのかというと東京医科歯科大学臨床教授で高名なK先生が歯周内科治療を行ったところ、今まで治らなかった症例がほとんど治ったので非常に驚いたと直接私の歯科医院に電話がありました。

そして、急遽、2006年4月の総会にお出でいただきました。  お会いした柏田聰明先生は非常に素晴らしい先生で真摯に臨床に取り組まれている先生でした。そして、総会での発表を聞いて頂き、是非、保険採用をしようということになり、東京医科歯科大学の同窓会シンポジウムで発表をして欲しいと言うことになりました。

東京医科歯科大学といえば歯学部では東大のような存在です。日本の歯科大学の教授の三分の一は東京医科歯科大学の出身なのです。私は日本の歯科医学の発展の為に頑張りたいと思います。

東京医科歯科大学歯科同窓会シンポジューム

第36回 シンポジューム後論文が多数発表され始めた

ジスロマックについてはその後追試がなされ、2003年デンタルダイヤモンド6月号において、論文が発表されています。その結果では歯ぐきをメスで切って悪い部分を取り除く手術の回避率が実に60%に近いというデータが発表されています。私がお教えした先生方はすでに2000名になろうとしていますが薬を使った歯周病治療(歯周内科治療)を行うことで歯ぐきの手術の回避率がほぼ90%以上という報告を多くいただいています。

また、海外においてもきわめて有効な薬剤であるという論文が多数発表されています。

さらに、デンタルダイヤモンド誌増刊号「ペリオこの疾患にこの治療法の新展開」2003年10月発刊(監修 鴨井久一先生)にトピックな歯周治療という内容で薬を使った歯周病治療(歯周内科治療)の紹介がされ、「アジスロマイシン(ジスロマック)には、慢性の歯周炎に対する効果が期待されている。」と記載されています。

また、カビ(真菌)については2003年3月号のデンタルハイジーンという歯科専門誌では次のように記載されています。

臨床医の先生は「理屈はともかく、目の前の患者さんがよくなればよい」と主張し、研究者の先生は「カンジタが歯周病の原因菌だなんてばかげている」と主張していました。

果たしてカンジタは歯周病の原因菌なのでしょうか? 日本歯周病学会によると、歯周病の原因となる根拠はないとしています。根拠はないけれど、患者さんは治っていく…
これをどのように説明したらよいのでしょうか? 現状ではカンジダ菌は歯周病の原因菌であるとはいえませんが、逆にカンジダ菌は歯周病の原因菌ではないともいえないのです。と以前のように完全否定できないという内容の記述がなされています。
このようにたくさんの肯定的な論文が多数出始めたのです。

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第35回デンタルダイヤモンドでのシンポジューム・・・大雪の日

平成14年12月9日(月曜日)、東京は朝から大雪でした。私は土日の大阪での講習会が終了した後、大阪での所用を済ませ、新幹線で東京へと向かい、シンポジュームが開催されるデンタルダイヤモンド社の近くのホテルに宿泊しました。

当日の朝、非常な緊張の中で身支度を済ませ、ホテルから徒歩で行ける距離にあるオリンパスへ向かいました。そこで、ペリオセーバーを会場へ運んで頂く手配をしていたのです。私はどうしても、ペリオセーバーの素晴らしさを出席される大学教授にみていただきたかったのです。

デンタルダイヤモンド社に到着し、社員の方々にご挨拶をして器材のセッティングを開始しました。その時始めて、G記者とも直接お会いし、今までのお礼を述べました。そのあと、編集長の方と入念に打ち合わせをして、準備万端整えて、心構えを始めました。

シンポジュームの出席者は鴨井久一日本歯科大学歯周病学講座教授(現日本歯周病学会理事長)、前田伸子鶴見大学口腔細菌学講座教授、市川哲雄徳島大学歯科補綴学講座教授 、山本共夫先生(黒川歯科医院院長)、そして、私、生田図南(生田歯科医院院長)です。

本シンポジュームでは「口腔内微生物叢と除菌療法を検討する」という内容で、歯周内科治療について有意義な意見交換が行われました。ジスロマックについては歯周病に非常に有効な薬剤であることが確認されました。

また、カビ(真菌)についても、前田伸子教授は「カンジダとう蝕・歯周病の関連についての報告は1980年代の後半から目立ってきています。たとえば、う蝕との関連性について述べた論文はすでに1987年に発表されています。根面う蝕(高齢者の歯の根の部分に多発する虫歯)についても高齢者の根面う蝕が問題になってきてから、カンジダと根面う蝕の関係を強く示唆する論文が複数発表されています。また、カンジダと歯周病との関連性についての論文もありますが、そのほとんどは直接カンジダが歯周病の病原体であるとまでは明言してはおらず、歯周病の患者にカンジダが多く分離されてくることを示唆するものです。さらに、カンジダとオーバーデンチャー(歯の根を残したまま、その上に装着された取り外し式の義歯)を介した根面う蝕、歯周病の関連性についての論文も複数あります。このように、カンジダとう蝕や歯周病は何らかの関係があるのではないかということを示唆する論文が増えてきているのが現状です。」と述べられました。

また、前田伸子教授は「歯周病との関連性について、あくまでも仮説ですが、カンジダ症一歩手前の状態の患者が実は多いのではないかと考えています。つまり、歯科医が診てもカンジダ症と診断できない状態だけれども、実はカンジダ症一歩手前の歯肉炎になっている患者が、実は多いのではないかと。それがもともと存在していた歯周病の病態を粘膜のところで修飾して、治りにくい状態にしている可能性があるのではないかと考えています。

また、カンジダは口腔だけでなく腸管にも常在していますが、カンジダの疫学調査をした研究者、たとえばオッズ(1994)は腸管がカンジダのリザーバーとして口腔に供給されると述べています。逆に口腔がカンジダのリザーバーではないか。つまり、口腔内に義歯や不良補綴物があるために、そういう部分がカンジダのリザーバーになって、腸管のほうにカンジダを送り込んでいるのではないかとも考えています。」と述べられました。

義歯性カンジダ症の研究者である市川教授は「デンチャープラークといえば、カンジダを連想される方が多いと思います。デンチャープラークのカンジダは、どのような悪さをしているのでしょうか。根面う蝕、義歯性口内炎、そして本シンポジウムの本題である歯周病、さらに全身の健康にさまざまな影響を及ぼしていると考えられるわけです。カンジダの病原性に関しては、1つにその酸産生能が挙げられます。高齢者の根面う蝕の原因にはカンジダが深く関与しているかもしれません。」と述べられました。

最後に鴨井教授は「つまり、1つの方法論としていろんな考え方があっても決して悪くはないと思います。しかし、今回のシンポジウムの1つの結論として、先生方に共通した考え方は“きちんとした検査方法を確立すること’’が急務ではないかと思います。いままでの歯科医療は症状や患者さんの訴えが目に見えるということで、治療を行ってきたという経緯があります。そのためにエビデンス(根拠)が築けなかったという結果になってしまったのかもしれません。早くそのあたりのエビデンス(根拠)を確立させて治療のなかに取り入れ、医療の質を高める必要があると思います。

日本の場合は何度もお話ししましたが、検査方法や診断方法が確立されていないのです。そのために想像の域を出ないのです。とりあえずルーチンの治療としてプラークコントロールやスケーリングを行って様子をみる。その間に、悪化して組織が破壊され、症状が進行していく可能性があるかもしれませんね。」と現在の歯周病治療の問題点を指摘されました。

第34回デンタルダイヤモンド誌G記者からの電話

2003年9月のある日、デンタルダイヤモンド誌のG記者から、1本の電話が入りました。その内容は、日本歯科大学の鴨井久一教授を座長として、抗カビ剤に関するシンポジュームがデンタルダイヤモンド誌で企画され12月頃に、開催される予定である、しかし、残念ながら私は、その中のシンポジストには選ばれていない。本当に申し訳ありませんというお電話でした。

G記者は、私の薬を使った歯周病治療(歯周内科治療)に最初の頃から注目して頂き、デンタルフロンティア15,18号という歯科専門雑誌で特集を2度にわたって組んで頂いた方です。

私は、内心、自分が選ばれなかったことを、とても、悲しく思いました。しかし、薬を使った歯周病治療(歯周内科治療)の発展のためには、シンポジュームが開かれることは、本当にいいことなので、喜ばなくてはならないと思いました。

それは前項でのべた、「抗カビ剤の問題を検討する」プロジェクトである程度の結果が出たことが推察されたからです。結果が出ないと、このようなシンポジュームは開催されるはずがないことはわかっていましたので、かなりいい結果が出たのではと思いました。

G記者とはメールで、シンポジュームの開催についての情報をいろいろと教えて頂いていましたが、10月になって、急に、私も、シンポジストに選ばれましたという電話が入ってきました。私は非常に驚きましたが、喜びがこみ上げてきました。そして、シンポジストに選んで頂いたのは鴨井久一教授だということも教えて頂きました。鴨井久一教授の鶴の一声で決定したということでした。(鴨井久一教授は2003年4月に歯周病学会理事長に就任されました)

その後、当日のシンポジュームの形式や出席者の紹介、それぞれの先生方の発表内容が文書で伝えられました。そして、各出席者の日程調整が行われその日は12月9日午後1時半からと決定したのです。

第33回抗カビ(真菌)剤治療を検討する委員会の設立

2002年の3月15日号のDENTAL TODAYという歯科の専門新聞に次のような見出しの記事が掲載されました。

「抗カビ剤投与の問題」(仮称)プロジェクトチームが発足
今年中の結果報告を目指し研究スタート
その内容は下記のようなものでした。

 『既報(45号)の通り、朝日新聞に「歯磨きより抗力ビ剤が有効」という見出しによる記事が掲載されてから、その内容に対して日本歯周病学会としては「歯周病の治療方法としては、EBMが見い出せない上、さらに安全性の確認されていない抗力ビ剤(アムホテリシンB)の連続投与は患者に行うべきでない」という見解を発表していた。しかし、その後もこの間題に関心をもつ歯科医師からの問い合わせが続き、「歯周治療に抗カビ剤がいいかもしれない」という臨床における混乱も一部あることも事実であり、明確な結論が求められる状況になっていた。こうした背景・状況に対応すべく、このほど歯周治療としての抗カビ(真菌)剤投与の問題について、学会とは別に、鴨井久一・日歯大教授を中心としたプロジェクトチームが発足し、先月第一回の会合が開かれた。

内容は、EBMの確認、原因菌完全除去への考え方等の検討を主な目的としており、メンバーは鴨井教授のほかに、花田信弘・国立感染研口腔科学部長、前田伸子・鶴見大歯学教授、ほか数名の有志の研究者である。鴨井教授はこの問題については以前にも報告しており、しかも海外の研究者と議論しても内容は容認されるものではなかった。

しかし、今回は改めて歯周病治療の方法として、EBMの有無を確認したい。また原因菌完全除去という考え方についても論議したい」と、研究結果については「今年中には日本歯周病学会ほか機会があれば報告もしたい」としていた。一方、花田教授は「口腔カンジダ症の病名診断の基準も検討すべきかもしれない」と指摘していた。関係者によれば、一般全国新開報道の記事内容、タイトルについて問題があるとの指摘が多かったが、専門家として同じ歯周病と診断されても、歯科医師によって治療への方法が異なるのでは、患者からの治療不安と不信を生むばかりである、という。いずれにしても早急に専門家としての結論が望まれる。』

私はついに、公の場で、この治療方法が議論されるようになったのだと、感慨深いものを感じました。そして、きっといい結果がでると期待して、その日を待ったのです。

第32回歯周病学会からの反論

2年ほど前までは、歯周病学会の反論は非常に厳しいものでした。歯周病学会のホームページには批判論文が掲載され学会挙げての反論を受けたのです。しかし、その反論の根拠となるデータは実際に厳密な臨床試験などから得られたデータではなく、過去の論文を参照として前例がないので常識的に考えておかしいという内容でした。
また、前歯周病学会理事長は、日経デンタル試作版、「歯周病とカンジダ論争」の行方のなかで


質問 「日本歯周病学会が否定的な見解を出しても歯周病のカンジダ原因説が消えないのはなぜか。」

教授回答

「無知な人に間違いをいくら指摘しても、理解できないということだ。歯周病学はエビデンス・ベースド(科学的な根拠)で動いている。そしてエビデンス(根拠)に基づいた治療を行えば、歯周病はきちんと治る。しかし今の日本で、正しい歯周病治療を行える歯科医師は非常に少ない。けれど何かしなくてはならないから、簡単な方法に飛びつく。そしてたまたま口内炎が改善したような例があったら、それを信じてしまう。恥ずかしいけれども、それが現状なのだ。」


質問 「抗カビ剤を用いた臨床試験を行い、そのデータを基に否定することは考えていないのか。」

教授回答

「我々はありとあらゆる周辺事実から、そこまでやる意味がないという結論に達している。莫大な資金や労力をかけても、抗カビ剤は効かないというネガティブな結果が出て、「そりゃそうですね」で終わるだけだ。試験は、ポジティブなデータが出るようなら積極的に行うが、勝ち誇るためにやるものではない。
と述べられています。


このような厳しい状況の中、私たちはこの治療方法の研究を行わなければならないという崖っぷちのところまで追いつめられていました。しかし、唯一の支えは、自分自身の患者さんたちが明らかによくなっていく事実だけでした。しかも、一例も事故が起きることもなく非常に楽に治っていったのです。

第31回 国際歯周内科学研究会の活動

1, 講演会活動

私を含めた各理事は各々の得意分野を活かした内容での歯科医師向けの講演会活動を行っています。お陰様でほとんどの講演会が常に満席状態です。また、理事の半数以上が40歳以下で非常に若い先生方です。歯科の世界は40歳以上にならないと講演などができにくく若い感覚の先生方の情報を得にくいという状況にあります。今後、若い先生方は、日本の歯科界をリードしていく立場に立つと思いますが、その時に既に何年もの講師としての経験があると言うことはより強い求心力をもち、素晴らしい歯科界を築いて頂けると確信しています。

2, 学会発表活動

歯周内科治療を保険に採用して頂くためには、個人でいくら素晴らしい治療ですと主張しても厚生労働省は聞き入れて頂けません。多くの先生方の総意として、治療方法を申請すれば保険に採用される可能性は非常に高くなります。また、その影響力は医科の方が非常に強いのです。そのために、ジスロマックの保険導入に尽力された東海大学医学部口腔外科の金子明寛教授のお誘いで医科の権威ある学会である日本化学療法学会に入会し、全理事で発表活動を行っています。また、国際歯周内科学研究会のなかで日本化学療法学会に入会して頂ける先生を募集し、106名の先生に登録をして頂いています。学会の中に多くの入会者を有すると言うことは発言力も強くなり、より保険償還への道が近くなるのです。

2006年5月、日本化学療法学会総会が京都の国際会議場で開催されました。その総会では私を含めて7名の理事全員が発表を行いました。発表会場には柴孝也化学療法学会理事長も早朝にもかかわらず、おいでいただき、私たちの発表を熱心に聞いて頂きました。私たちの発表は普通の臨床医が毎日の臨床の中でえた事を発表するので学問的には稚拙な内容に聞こえたかもしれませんが、患者さんを何とか治したいという情熱を感じて頂けたようで
学会として全面的にバックアップして頂けるという評価をいただきました。また、発表内容はデンタルトリビューンという歯科の専門新聞に掲載されました。(デンタルトリビューン誌) 

画像をクリックしますと拡大表示でご覧になれます。

デンタルトリビューン誌1デンタルトリビューン誌2デンタルトリビューン誌3

デンタルトリビューン誌4デンタルトリビューン誌5デンタルトリビューン誌6

3, 総会

国際歯周内科学研究会では2004年から年に一度総会を開催しています。最初の時は理事が自分の症例や新しい情報を発表するという極めて内々の会合でした。しかし、2005年の東京での総会から、大学の先生方が特別講演の講師としてお出でいただけるようになりました。2005年3月の東京総会では鶴見大学歯学部口腔細菌学教授前田伸子先生がカンジダの事について、また、鶴見大学歯周病科助教授の五味一博先生がジスロマックを用いた歯周病治療の効果について講演をして頂きました。

2006年の大阪総会では松本歯科大学薬理学教授の王宝禮先生がジスロマックを用いた治療方法について、東海大学医学部口腔外科教授金子明寛先生が歯科における抗菌剤の使用方法について総論的に発表をして頂きました。

第4回大阪総会2007年の東京総会では経営的な部門から、ソフトバンクの宮内謙副社長から、ソフトバンクの世界戦略について、口腔細菌学で有名な東京歯科大学口腔細菌学教授奥田克爾先生から歯周病嫌気性菌に関する発表をして頂きました。

2008年は4月20日に福岡にて総会を開催する予定ですが、大坂大学保存学教室の恵比須教授にジスロマックのクオラムセンシングについてご講演をしていただくことになっています。

第30回 国際歯周病内科学研究会の設立

2001年の9月に講習会受講者の先生方からの要望で、薬を使った歯周病治療(歯周内科)について意見交換ができる組織がほしいということで、国際歯周病内科学研究会を設立しました。現在、会員数は1470名になろうとしています。治療方法についての情報伝達や情報交換を行いながら、治療の難しい患者さんをどのように治したらいいのか、どのような治療方法が患者さんに利益をもたらすのかを検討しています。

国際歯周内科学研究会は2005年3月に有限責任中間法人になり、公益的な意味合いをもつ研究会へと進化しました。国際歯周内科学研究会の代表理事は私生田図南、副代表理事は松本秀規先生、その他に5名の理事で構成されています。

各理事は日本の各地区に分散しておりその地区の歯周内科治療の発展に尽力して頂いており、それぞれが、自分の講習会を開催しています。

第29回 薬を使った歯周病治療(ジスロマック+抗カビ剤治療)は凄い治療方法です

私はジスロマックの内服と抗カビ剤シロップを塗り薬のように使用する治療でほぼ90%の患者さんが改善することを確認しました。位相差顕微鏡の中で起きる治療前、治療後の変化はまさに劇的という言葉にふさわしい変化でした。

この効果を、世界中の歯科研究者が追い求めていたのです。私たちは、自らの手で歯周病をほぼ駆逐できる治療方法に出会えた幸せを心から味わいました。

しかし、ここまでたどり着くには、大変な目に遭ってきました。ずいぶんと中傷を受けたりもしました。でも、何とか患者さんをつらい目にあわせずに治したい、その思いだけでやってきました。その思いがきっと神様に通じたのだと心から感謝しています。

ジスロマックは何故効くのか

そして、何故、ジスロマックは効果があるのか、製造元であるファイザー社に問い合わせを行い、この抗生物質がきわめて素晴らしい理想の抗生物質であることを知ったのです。

ジスロマックは抗生物質の理想型といえます。 治療薬剤としては1991年イギリスにおいて最初に採用されました。その後、アメリカにおいて1992年に保険適用になっています。日本においては2000年6月より保険適用になりました。(世界中で歯科の適応がある国は日本とイタリアだけです)ジスロマックは抗生物質として薬剤が持つべき最適な用件をほぼ100%満たしている薬剤といえます。

つまり、最小使用量で最高の効果を長時間維持できるという特性です。その特性はファゴサイトデリバリーという特殊な効果により達成されています。

※ファゴサイトデリバリー(白血球によるお薬の配達という意味:白血球に薬剤が濃縮して取り込まれ、バイ菌の感染している部位に集中的に運ばれ、ピンポイントで放出される)

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